個人再生のメリットとは?どんな人におすすめ?

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個人再生_メリット

借金で日々の生活が苦しくはないでしょうか。

返す見通しが立たない借金は生活を追い詰めます。

しかし、そのような人を救済する制度がいくつもあります。

今回は借金減額手続き(債務整理)の一つ「個人再生」について詳しく紹介します。

制度を知るだけで、自身の苦しみを解決する一歩になるはずです。

個人再生とは?どんな債務整理方法?

個人再生とは、判所に申し立てを行い、返済額を減額できる民事再生の一つです。

借金総額に応じて減額した金額を原則3年で返済する計画(再生計画案)を立て、債権者の意見を聞いた上で裁判所に申し立て認められる必要があります。

個人再生には2種類あり小規模個人再生と給与所得者等再生があります。

小規模個人再生は定期収入がある人向け、給与所得者等再生はさらに定期収入の変動幅が少ない(過去2年の年収で20%以内)給与という条件があり、個人再生と言った時に基本的には小規模個人再生を指すと言っていいでしょう。

手続きを行う事で債権者による強制執行が行われなくなるメリットがありますし、また、住宅ローンを払っている家を所持している場合、住宅資金特別条項を定め、ローンを今まで通り支払うことで住宅を手放さずに返済を行う事も出来ます。

しかし、再生計画を守るために給与に類する、定期的な収入を得る見込みがある人でなければなりませんし、個人再生の制度が利用できる借金総額は5000万円までと制限があります。

もし再生計画が守られなければ借金は全て返す事となります。

申し立て(手続き)については申立人(借金返済者)が主体となって裁判所が定めた期間内に必要な手続きを行わなければならないため、弁護士に相談した方がよいでしょう。

なお、弁護士費用は手続きが煩雑で必要期間も6か月程度の時間を要するため60万円程度かかります。

弁護士費用については弁護士会で定めを作っている地域や明示している事務所が多いですので参考にするとよいでしょう。

個人再生が認められると借り入れが5年から10年出来なくなり、官報に掲載されますのでそれも気を付ける必要があります。

個人再生の8つのメリット

債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つの方法があります。

  • 任意整理:利息上限を超えた利息を再計算して額を減らす方法。
  • 特定調停:裁判所が借主と貸主、利害関係者との話し合いを仲介して返済額の減額などを合意できるようにする方法。
  • 個人再生:返済額の一部を消して返済する方法。
  • 自己破産:全ての資産を処分し、その上で支払いが出来ない事を認めてもらい債務の一切を無くす方法。

比較すると個人再生のメリットとして任意整理より返済額が減り、自己破産より財産が残せる可能性がある制度となっています。

では個人再生の具体的なメリットについて解説していきます。

メリット1:債務額が5分の1になる

個人再生では借金総額に応じて決まりに従って減額して算出した額を返済します。

総額と最低弁済額(最低限支払う金額)の関係はおおよそ以下のようになります。

  • 100万円未満:減額なし
  • 100万円から500万円まで:100万円
  • 500万円超えから1500万円未満:総額の1/5
  • 1500万円以上3000万円以下:300万円
  • 3000万円超えから5000万円以下:総額の1/10

総額が比較的少ない場合、弁護士費用を加味すると額はあまり変わりませんが、借金総額が500万円以上になるとメリットが大きくなり返済額が大きく減る事となります。

なお、資産を合計して破産した場合の対象金額が最低弁済額より多くなる場合はさらに高い金額設定でなければなりません。

メリット2:どんな借金でも可能

自己破産の場合は基本的に借金が浪費やギャンブルによるもの(免責不許可事由)であると信用に値しないとして認められません。

しかし、個人再生であると免責不許可事由がありません。

どのようにして出来た借金であっても制度の利用が可能です。

メリット3:債権者に拒否権がない

個人再生が認められるためには再生計画案に債権者の半数・過半数の債権を握る債権者が再生計画案に合意しなければなりませんが、現実的に債権者はほとんどの場合反対することはありません。

個人再生の計画案を認めず自己破産された場合、貸したお金が一切戻らないので少しでも回収したいためです。

メリット4:債権者からの督促が交渉中は止まる

貸金業法第21条第1項9号では次のように定められており、関係する手続きを取り、弁護士・司法書士などから書面で通知が行われた場合、債権者は債務者に対して正当な理由なく一切の取り立てを行う事を禁止されています。

債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

法律で定められた事柄ですが、督促がなくなることは債務者の精神的に非常に大きなメリットとなります。

メリット5:債権者が債権回収の強制執行ができなくなる

個人再生では債権者を平等に扱う原則があり、特定の債権者が債権回収の強制執行をしてしまうと他の債権者への返済額が減ってしまいます。

平等に返済するために強制執行を中止・取り消しができます。

メリット5:資産を手放さなくても良い可能性がある

自己破産では動産・不動産などを現金化し、弁済にあてなければなりませんが、個人再生ではローン支払い中の住宅であれば再生計画案に住宅資金特別条項を定め、住宅ローンをそのまま払い続ける事で住宅を手放さない手続きができます。

個人再生で返済する金額と住宅ローンの金額を合わせて無理がないかしっかり計算した方がよいでしょう。

ただし、持ち家の場合、売却して弁済に充てられる費用になる時は残すことが出来ません。家の財産価値が非常に低い場合では残すことができます。

また、車に関してはローンがある場合は所有権がローン会社であれば引き上げられてしまいますが、所有権が自身にある場合やローンがない車であれば手放す必要がありません。

メリット6:職業に関わらず誰にでもできる

個人再生と自己破産の比較となりますが、自己破産ではお金に関わる職業や信用に関わる職業では免責が決定するまでその職に就けない決まりとなっています。

しかし、個人再生では一定の収入が見込めなければ弁済を行うことが出来ませんので、職業が制限されることがありません。

自己破産をすると仕事を失う職種についている方にはメリットとなります。

自己破産で免責が決定するまで就けない職は、次の通りです。

弁護士・公認会計士・税理士・弁理士・司法書士・公証人・行政書士・国家公安委員会委員・都道府県公安委員会委員・公正取引委員会委員・検察審査員・不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引業者・有価証券投資顧問業者・証券会社の外交員・商品取引所会員・貸金業者・警備員・古物商・質屋・生命保険募集員・損害保険代理店・日本銀行役員・旅行業・卸売業・建設業・建設工事紛争審査委員会委員・風俗営業

メリット7:就職や資格取得に制限がない

メリット6と重複した内容になりますが、自己破産を行って免責決定するまで就けない職に資格がいる場合、資格が強制的に停止されます。

同時にその資格を取得することもできません。

メリット6と同様に個人再生ではその制限がありません。

個人再生はこんな人におすすめ

個人再生はローン支払い中の家や持っている車を手放さないで債務整理を行いたい、自己破産すると仕事に影響が出る、浪費やギャンブルが理由の借金なので自己破産が適用できない人に向けた債務整理方法です。

財産を残せる可能性があることだけでなく、最低弁済額を算出するために全ての債権者と借金額を確認しなければならず、情報をまとめることで今後同じような事態に陥らないよう対策を考えられ、生活の立て直しにも有利に働きます。

しかし、給与に類する一定の収入がなければ認められませんし、保証人が付いている場合は保証人が借金を肩代わりして払うことになります。

そのような場合には他にも債務整理方法がありますのでそちらも参考にして下さい。

借金に苦しんでいる方はまず専門家に相談した方がよいでしょう。法律事務所以外でも役所や郵便局などで無料相談会が開催されています。その際「こうしたい」と決めてかからずに、現状をしっかり伝えアドバイスを受けることが重要です。

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