任意整理の手続きの流れと必要書類

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
任意整理_流れ

「任意整理」を行おうか考えている人のなかには「今まで任意整理をしたことがないから、申し込むのが不安…。」と不安な気持ちの人もいるでしょう。

でも、安心してください!任意整理は、手続きが単純なので利用しやすいです。そこで今回は、任意整理のステップを9つに分けて紹介します。

少しでも借金を減らしたいと思っている人は参考にしてみてください。

任意整理とはどんな手続き?

任意整理とは、返済者を救済する措置で債務整理の一種です。

「支払利息が0(場合によっては、元金もカットされます)」になるため、返済額の大幅削減となります。

しかも、裁判所を介さないので、手続きも比較的簡単です。次の章からは、任意整理の手続きの流れと細かい書類について見てみましょう。

任意整理の手続きの流れと必要な書類を細かく徹底解説

この章からは、任意整理の手続きの流れと必要な書類について見てみましょう。

今回は、9つのステップに細かく分けて説明してあります。

大よその流れは決まっていますので、ステップを参考にしつつ弁護士へ任意整理の相談を行ってみてください。

ステップ1:弁護士への相談

まずは、弁護士へ相談しましょう。

相談は無料の場合と、有料の場合があります。

いずれにしろ時間は限られていますので、弁護士に質問したい内容を片っ端から聞くのではなく、次のような情報をまとめていくとスムーズです。

  • どこにどれだけ借金があるのか?(※リストなどにまとめていくと便利です)
  • どの方法が自分にとってベストなのか?
  • 自分の希望(※奨学金だけは保証人が両親になっているので、整理対象にしたくないなど・・・)

例えば、弁護士による相談が30分無料で受けられる法テラスでは、時間が非常に短いのですべてを聞いている暇はありません。

事前に自分である程度任意整理をはじめ、債務整理について調べて、自分がどの債務整理方法が最適なのかをある程度把握しておき、相談時には端的に説明すると良いでしょう。

なお、相談する弁護士事務所を選ぶときには、下記の内容を意識してみてください。

  • 弁護士事務所の場所(※家からそれほど遠くないところがベストです)
  • 料金(※相場は無料〜5,000円程度/1時間、です。もちろんそれ以上の費用感の弁護士事務所もあります)
  • 弁護士の経験(※債務整理などを得意としている弁護士に依頼するのが交渉に慣れているので比較的話や手続きがスムーズにいくためおすすめです。また料金も債務整理者向けに分割での支払いをOKにしているところもあります)

相談に行く前に、債務状況を明確にしておこう!

相談には時間制限が設けられていることが多いです。

例えば、国が運営する法テラスの場合は「30分間」が無料になります。

他の弁護士事務所でも「30分間」、「1時間」だけ無料と、あらかじめ時間を決めているところがほとんどです。

時間を有効活用する意味でも、債務状況を把握しまとめ、リストアップした上で相談することをおすすめします。

ただし、消費者金融やクレジットカード会社へ債務状況の確認をしたいと思っても状況によっては数週間かかる場合もあるため、前もって準備をしたうえで弁護士への相談日時を決めましょう(※確認できない場合でも、WEB明細やDM明細によって分かる大まかな金額だけでもまとめておきましょう)

また、弁護士事務所によっては無料相談自体を行っていない場合があるので、そこは確認したうえで相談予約をしてください。

ステップ2:弁護士との正式依頼

無事に相談が済んだら今度は弁護士への正式依頼です。(相談から、しばらく経ってからの依頼でも大丈夫です)

弁護士事務所に伺い、内容などを合意の上、契約書に署名し契約完了となります。

ただ、正式依頼なので契約書に署名する前に、違和感を感じたり疑問点を持ったりする箇所がないか確認してください。(※契約書へ記入した後に抗議しても、ダメなケースが多いです)

なお、正式依頼するときは以下の持ち物が必要です。(※弁護士事務所によって、多少異なりますので、事前に電話で確認しておきましょう)

  • 身分証明書
  • 住民票
  • 印鑑
  • クレジット・消費者金融のカード
  • 債権者の一覧表・契約書(なければ、エクセルで集計するのも良いでしょう)
  • (借入・返済の)取引明細書
  • 通帳
  • 収入が把握できる書類(源泉徴収票・給与明細など)

ステップ3:弁護士が受任通知を債権者に発送

受任通知とは、弁護士が任意整理手続きを開始する旨を伝えることです。

弁護士が書類(=受任通知書)を債権者側に発送する方法が多いでしょう。

なお、受任通知書には下記内容が書かれています。(※弁護士によって多少形式が異なります)

  • 受任通知書を発送した年月日
  • 債務者の名前・住所・生年月日
  • 代理人(弁護士)の名前・住所
  • 任意整理手続きを行う旨の文章

受任通知が行われると、債権者から催促の連絡が来なくなるので精神的にも良いです。

ただ、個人からの借金を任意整理する場合は、ルールが異なるので気を付けてください。

ステップ4:弁護士へ着手金の支払い

着手金とは、任意整理の手続きを弁護士が開始するにあたって相談者側が支払う費用を指します。(※任意整理完了後に、着手金とは別に成功報酬を払う場合が多いです)

任意整理手続きの失敗成功関係なしに発生する費用なので、お金が返ってくることはありません。

なお、着手金は数万円から数十万円まで幅広いため、相談時にいくらなのかハッキリ聞くことが大事です。

場合によっては分割交渉などにも応じてくれる場合もある

着手金を一括で払わなければならないと思っている人も多いでしょう。

しかし、事務所によっては「分割」での支払を認めてくれるケースがあります。

そもそも、任意整理をする人の多くは「借金の支払ができない人」です。弁護士も依頼者の金銭事情をある程度理解しています。

そのため、一括で払えない場合は正直に伝えましょう。すると、弁護士も対応してくれるはずです。

ステップ5:弁護士による債権者との交渉

債権者との交渉では、任意整理に対応してもらえるように弁護士が交渉していきます。

なお、弁護士が債権者側へ話す主な内容は次の通りです。

返済期間・金額について

返済期間は「何年以内に完済できそうか?(原則5年以内)」。

金額は月々の返済金額を指します。月々の返済額は、債務者の収入・支出を基に弁護士が計算した金額を伝えることが多いです。

弁護士が通達した内容に対して、債権者が納得すれば任意整理できる可能性は上がるでしょうし、納得しなければ任意整理できる可能性は下がります。

「債務者のことを考えつつ、債権者が納得する数字を提示できるか」が弁護士の腕の見せ所となるでしょう。

元金カットについて

過払い金がある場合は、元金カットについても弁護士は債権者へ伝えます。

いわゆる「グレーゾーン」で金利が計算されていた人だけではなく、それ以外の人でも過払い金が返ってくるケースはあります。

債権者の任意整理受け入れ可否

債権者が、任意整理を受け入れるかも弁護士は確認します。

弁護士が任意整理を行ったからと言って、100%成功するわけではありません。(※ただ、失敗するケースはごく稀です)

いくら任意整理の条件に当てはまっていても、「〇〇弁護士事務所の依頼は絶対に断る」など、債権者側で前もって規則を決めているケースもあります。

もし、担当弁護士が任意整理の手続きに失敗した場合は、別の弁護士事務所へ相談するのも一つの手です。

ステップ6:毎月の返済額の確定

無事に任意整理の交渉が済んだら、毎月の返済額が確定されます。

ちなみに毎月の返済額は、「3~5年」の間で決まることが多いです。

任意整理前と比べ、利息がカットされている分返済額も少ないのでラクに返せるでしょう。

人によっては「この返済額だと厳しい」と感じる人もいます。

その場合は、遠慮なく弁護士へ相談してください。

なぜなら、任意整理の返済が滞ってしまうと、債権者から「一括請求」される恐れがあるからです。

しかも、返済が滞ると「遅延損害金」も追加されるので余計な出費が発生します。

大事なステップなので、普段遠慮がちの人もハッキリ弁護士へ伝えましょう。

ステップ7:弁護士による合意書(和解書)の発送・和解成立

無事に返済金額が決まると、弁護士が債権者に合意書(和解書)を発送します。(※合意書には、毎月の返済額と返済期間などが載っています)

その後、債権者が合意書の内容を見て承諾して、はじめて任意整理手続きが完結したこととなるのです。(※合意書を弁護士が送付しただけでは、任意整理手続きが正式に完了したとは言いきれないので気を付けてください)

ステップ8:弁護士へ成果報酬の支払い

成果報酬とは、名前の通り弁護士が成果を出したことに対して支払う報酬です。

今回の場合だと、「任意整理手続きを成功させた」ことに対する報酬だと思ってください。

なお、成果報酬の設定は弁護士事務所によって異なります。

主な報酬設定パターンは下記の2つです。

パターン1:件数ごとの報酬

件数とは「任意整理を成功させた件数」を指します。

1件につき「3万円~5万円」の間で設定されていることが多いでしょう。

例えば、債務者が1件につき5万円の成果報酬を支払う弁護士事務所へ依頼し、A社、B社、C社の任意整理全て成功した場合は、「5万円×3件」で15万円が成果報酬です。

逆に、任意整理が1件もできなかった場合は、成果報酬は「0」なので支払う必要はありません。

パターン2:減額金額の割合に応じた報酬

返済削減額に応じて、報酬額が変わるパターンもあります。

例えば、任意整理後に返済しなければならない額が200万円から150万円に減額された場合は、「50万円のうち〇%」が報酬と決められていることが多いです。

10%だと「5万円」。5%だと「2.5万円」と言った形です。

なお、パターン1orパターン2というように片方の報酬パターンを設定しているケースもあれば、パターン1とパターン2の両方の報酬パターンで請求されるケースもあります。

報酬支払時になって、「そんなはずではなかったのに…。」とならないように、前もって報酬の確認はしておきましょう。

ステップ9:債権者に支払いスタート

無事に弁護士事務所への報酬の支払いが完了したら、債権者への支払いがスタートします。(振込先は弁護士から案内があるので安心してください)

支払期日は、毎月27日だったり末日だったりとバラバラなので、その部分も弁護士に確認してください。

なお、支払期日を一日でも過ぎると、債権者より「遅延損害金」や「一括請求」される確率が上がるので余裕を持って返済することをおすすめします。

また、返済するときは下記2点に注意してください。

注意1:振込反映時間を確認する

銀行によって振込が反映される時間は違います。

いつ振り込んでも「即日反映される」ケースもあれば、平日の15時以降の振り込みだと「翌営業日の午前9時に反映されない」など、いくつかのパターンがあります。

また、振込先口座によっても反映される時間は異なるので、確認したうえで月々の支払いを行うと良いでしょう。

注意2:支払先の確認を怠らない

確認を怠ると、「A社へ1万円を支払わなければならないのにB社へ支払った」、「A社の借金返済用の口座に振り込まなければならないのに、別の振込口座へ振り込んだ」などのミスが起こる確率が上がります。

それが理由で、債権者からの信頼を余計失ったり、生活が狂ったりと債務者が大きなダメージを受ける場合も…。

ゆとりある生活を送るという意味でも、確実に支払処理を行いましょう!

借金返済に困ったら、まずは弁護士への相談から始めよう!

とりあえず、借金返済で困ったら弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士であれば、あなたの状況に合った返済方法を教えてくれるはず。

もし、直接弁護士事務所へ行くのが不安であれば、市役所などで行われている「無料弁護士相談会」へ参加するのも一つの手です。

ぜひ、一人で悩むのではなくプロの力を借りて、借金問題を解消しましょう!

※本記事の情報などは2018年4月現在の内容です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*