借金で困っていて、任意整理を考えている読者の人もいるでしょう。しかし、場合によっては任意整理できない場合もあります。
弁護士事務所へ行ったのに、任意整理できないと言われるのは嫌ですよね?
そこで今回は、任意整理をしたくてもできない(可能性が高い)10のケースを紹介します。ぜひ、任意整理の手続きを行う前に読んでいただけると幸いです。
Contents
- 1 任意整理は100%ではない!任意整理できない場合がある!?
- 2 任意整理をしたくてもできない(可能性が高い)10のケース
- 3 任意整理ができないのはレアケース!
任意整理は100%ではない!任意整理できない場合がある!?
任意整理とは、債権者との話し合いで元金にかかる利息を全カットし(減る可能性がある)、返済をラクにする方法です。(※場合によっては、元本が減ることもあります)
債務整理の中でも軽度な手段で、裁判所を通さずに申請できるため手続きも比較的簡単です。
ただ、任意整理は100%利用できるとは限りません。
任意整理適用対象外の人は、残念ながら別の方法を使わなければならない場合も…。次の章では、任意整理をしたくてもできない(可能性が高い)ケースがどんな状況か見てみましょう。
任意整理をしたくてもできない(可能性が高い)10のケース
ここからは、任意整理をしたくてもできない(できない可能性が高い)10のケースを紹介します。
ご自身に当てはまっていないか確認してもらいながら見ていただけると幸いです。
ケース1:3~5年で完済が難しい場合
任意整理を利用する際は、長くても5年以内に完済する必要があるため(基本的には3年以内で完済することが望ましい)、完済に5年以上かかると判断された場合は任意整理の利用が難しいです。
例えば、A社への返済額(元本)が500万円ある債務者の場合、1年間で最低100万円の返済をする必要があります。
つまり、1カ月あたり「約83333円」は返済しなければならないということです。
債権者より返済能力があると認められれば債務整理できる可能性は高くなりますが、返済能力がないと判断されれば債務整理できる可能性は低くなります。
また、5年以内での完済が難しいと分かっていながら完済できると答える債務者もいます。
しかし、ウソを付くと月々の返済額が増え苦しくなる場合も…。
痛い目を見ないためにも、正確な収入額を伝えましょう。
ケース2:個人で債権者と交渉した場合
債務者が、直接債権者と交渉する場合も任意整理するのは難しいでしょう。
なぜなら、素人だからと言って「門前払い」される可能性があるからです。
任意整理の話し合いでは、専門用語がたくさん出ます。
任意整理を実現させるためにも、弁護士事務所の利用をおすすめします。
ケース3:借金を返済できるだけの収入がない場合
借金を返済できるだけの収入がない人も任意整理はできません。
無職だとほとんどのケースで任意整理を受け付けてもらえないため、収入源をつくりましょう。
「会社員」、「アルバイト・パート」、「フリーランス」など、いろいろな方法があります。
ただ、定期的に収入が入る仕事をしている方が印象良く見えやすいため、「会社員」として働くのがベストです。
また、親が自営業の場合は、親元で働き給料としてもらうのも一つの手でしょう。
ケース4:ほとんど返済実績がない場合
返済実績がない債務者の任意整理も断られる確率が高いです。
返済実績がある債務者であれば、利息もたくさん払っているため任意整理に応じてくれる可能性はあります。
しかし、1、2回しか返済していない債務者だと利息がほとんど振り込まれていないため、債権者側の利益はほとんどありません。
つまり、債権者側が「債務者から利息をもっと回収し、利益(儲け)を増やしたい」という気持ちになると、任意整理に応じてくれなくなる確率が上がるということです。
ただ、債権者によっては返済実績が少なくても任意整理に応じてくれる場合もあります。
任意整理関係に詳しい弁護士に聞きながら、どんな行動をとるか決めると良いでしょう。
ケース5:弁護士から任意整理の依頼を断られた場合
任意整理は弁護士へ依頼することも多いです。
しかし、弁護士へ依頼したにも関わらず任意整理の手続きを断られると任意整理できない場合も…。
なお、断られる理由として主に下記の内容があります。
個人情報を正直に明かさない
個人情報を正直に明かさない場合、任意整理を行ってもらえない確率が高いです。
理由は、任意整理を行うときに債務者の個人情報を記入する欄があるからです。
ウソの個人情報を記載したことが債権者にバレると、弁護士の信用問題にも関わります。
さらに、任意整理の手続きをする場合、債務者の「資産・収入・支出」額の状況から毎月の返済金額を算出するケースも多いです。
資産・収入・支出額がウソだと分かった段階で、弁護士より契約を打ち切られる可能性も十分にあります。
ウソをつきとおしたとしても、弁護士に資産・収入・支出額が分かる書類を提出した段階でバレます。
弁護士との信頼関係を築くためにも、ウソは付かない方が良いでしょう。
弁護士に協力しない
「弁護士が指示したことに対し言うことを聞かない」など、弁護士に協力しないのも良くありません。
例えば、「〇〇を持ってきて(送付して)ください」と言われたのに持っていかない(送付しない)。
「書類の記入をしてください」と言われたのに断るなど、横柄な態度をとっていると、弁護士に契約を打ち切られる可能性があります。
真摯な気持ちで弁護士と接しましょう。
弁護士への報酬を支払わない(支払えない)
弁護士へ着手金を支払わない人も、任意整理をやってもらえなくなるでしょう。
いくら、借金でお金に困っていると言っても、弁護士もビジネスで任意整理手続きを行っているため、着手金は払わなければなりません。
最近は、着手金を0にして任意整理成功後に報酬を支払う「成功報酬型」を提案する弁護士事務所も増えてきましたが、いずれにしても支払義務は生じます。
任意整理の契約締結をしたにもかかわらず債務者が報酬を支払えない状況になれば、弁護士事務所より裁判を起こされる可能性もあります。
余計な時間とお金が発生することになるので、くれぐれも気を付けてください。
弁護士事務所へ出向かない
弁護士事務所まで出向かない債務者も、任意整理を断られるケースがあるでしょう。
事務所まで出向かない債務者だと、「本当にその場所に住んでいるのか?」、「その人物は存在するのか?」、「何かあったときに対応できるのか?」など、事務所側で不安を抱えることに…。
その結果、弁護士に依頼をしても断られるのです。任意整理の依頼をする以上は、事務所へ出向くことを心がけましょう。
ケース6:債権者が任意整理に合意してくれない場合
いくら弁護士が任意整理の手続きを踏んでくれても、債権者が合意しないと任意整理の利用はできません。
債権者が断る理由として、主に下記の内容が考えられます。
返済金額に説得性がない
債権者側が弁護士側から提示された毎月の返済額を見て、「この返済額では返せそうにない」という印象を持たれると、話し合いが進みづらくなる場合も…。
そのため、債権者側が納得できる返済額を弁護士側が提示できるかがカギとなるでしょう。
合意しない弁護士事務所だと決めてある
債権者によっては弁護士より任意整理の依頼があっても、「特定の弁護士事務所」に限り任意整理を行わないケースもあります。
例えば、「債権者側が応じないと言っただけで、裁判を起こそうとする事務所」、「債務整理以外の案件で関わり印象が悪かった事務所」だと、断られる確率も上がるでしょう。
なお、弁護士事務所を選ぶときは下記2つの内容を参考にすると良いです。
- クチコミ・・・クチコミは、インターネット上に利用者の声などが載っています。「弁護士の接し方はどうだったか?」、「料金はどうだったか?」と、細かく載っているクチコミも。ただ、クチコミによってはウソの情報が載っているケースがあるので気を付けてください。
- サービス内容・・・自身に合ったサービスがある弁護士事務所を選ぶのもコツです。例えば「初回無料相談可」、「土日営業」、「訪問有」、「駅チカ」など、いろいろなサービスがあります。弁護士事務所同士を比較して、ぜひ自身に合った場所を見つけてみてください。
ケース7:保証人がいる場合
保証人を付けている借金は、保証人へ支払督促がいく仕組みになっているので、もし任意整理してしまうと保証人に支払い義務が移ってしまいます。
そのため、保証人には任意整理されることがバレてしまいます。
保証人がいるからといって任意整理ができない事はありませんが、人間関係の亀裂やバレる原因になってしまうので、注意しましょう。
ケース8:訴訟に発展してしまっている場合
訴訟へ発展していると、債権者が任意整理をOKしてくれない可能性も高くなるでしょう。
債務者の印象も悪くなっているため、任意整理までこぎつけるのは難しいです。
だからと言って、100%任意整理ができないわけではありません。
ただ、債権者からの催促が来ていたのに債務者が対応していなかった場合、「遅延損害金」など請求される恐れがあるので覚えておきましょう。
ケース9:担保を入れている場合
不動産など変動制の大きい担保を入れている債務者の任意整理も難しいでしょう。
担保の価値(時価総額)が大幅に下がっていると、債権者が応じる確率も下がります。
とくに、「不動産担保ローン」を契約している人は注意してください。
また、債権者に担保を譲ると言っても、任意整理してもらえるとは限らないので頭の中に入れておきましょう。
ケース10:個人からの借金の場合
個人からの借金を任意整理の対象にするのは可能ですが、債権者が受け入れてくれるかは別です。
法人の場合は、企業ブランドを気にして任意整理に応じてくれるかもしれません。
しかし、個人であれば任意整理を行わなかったからと言って、ブランドイメージが損なわれることは少ないと思います。
また、弁護士側も任意整理に失敗したときのリスクを考えて断るケースもあるため、個人からの借金を任意整理するのは難しいと言えるでしょう。
任意整理ができないのはレアケース!
任意整理ができないケースを紹介しましたが、全体的には任意整理できる可能性の方が高いです。
仮に任意整理できない状態でも、弁護士が適正な方法を教えてくれます。
弁護士だと債務整理に関する正しい知識もたくさん持っているため、手っ取り早いです。借金で困っている人は、ぜひ弁護士事務所へ相談することをおすすめします。
※本記事の内容などは2018年4月現在の情報です。