借金の返済額が膨れすぎて、「任意整理」を利用しようと考えている人もいると思います。
ただ、なかには住宅ローン・マイカーローンの返済をしているがために、行動へ移せない人もいるでしょう。
とくにローンの返済額が大きかったり、返済期間が長かったりすると悩みますよね。
そこで今回は、そんな不安を解消するために、任意整理後の住宅ローン・マイカーローンの新規契約・審査の概要などについて紹介します。
Contents
任意整理とはどんな債務整理方法?
任意整理とは、債権者と交渉しながら「利息カット・元金の削減」を目指す債務整理の一種で、裁判所を介さないため手続きも比較的簡単です。
当事者が直接債権者と交渉することも可能ですが、弁護士(司法書士)事務所へ依頼するのが一般的です。
任意整理が成立すると、返済額が減るので月々の返済額も減ります。
ただ、月々の返済期限を守らなかったり、債権者が任意整理に応じてくれなかった場合は、一括返済要求をされることもあるので注意が必要です。
任意整理後は支払い中の住宅ローンやマイカーローンはどうなる?
支払中の住宅ローン、マイカーローンは任意整理に組み入れるかどうかで結果が変わります。
この判断が、後々ローンに影響するので要チェックです!
任意整理から外した住宅ローンやマイカーローン
任意整理から外したローンについては、今まで通り支払いを継続します。
任意整理対象外になっているため、もちろん利息分の支払も行わなければなりません。
任意整理に入れた住宅ローンやマイカーローン
任意整理に入れたローンについては、交渉が成功すれば利息(場合によっては元金)がカットされます。
ただ、ローンを組んだ人のなかには、支払が滞ったときに所有権が債権者へ移転する「所有権留保」の契約が結ばれているケースが多いです。
所有権留保が結ばれたローンを任意整理の対象とした場合、所有権が移るケースがあるので気を付けてください。
また、住宅ローンにおいてはマイカーローンと違い返済金額も大きいです。そのため、任意整理を断られる確率が高いことも頭の中に入れておきましょう。(※ただし、残りの返済金額が少なければ、任意整理できる確率は上がるでしょう)
任意整理後に新しく住宅ローンやマイカーローンを組むことは可能?
任意整理後は、新規で住宅ローン・マイカーローンを組むのは難しいです。
ただ、ローン会社によって審査の基準は違うため、例外的に組める場合もあります。
ただ、仮にローンを組めたとしても、条件が厳しかったり借入額が低かったりと、不利な条件を押し付けられるケースがあるので覚えておきましょう。
なぜ任意整理後に新しく住宅ローンやマイカーローンを組むことができないの?
任意整理の概要がブラックリストに載るからです。
ここで言うブラックリストとは、任意整理をした事実が、個人情報信用機関に反映されていることを指します。
個人情報信用機関・個人情報を参考に審査されますが、金額が大きい分審査は厳しくなりがちです。
場合によっては、任意整理をしている事実が分かった段階でローンを組めなくなる場合があるので気を付けてください。
どれくらいの期間住宅ローンやマイカーローンを組めないのか?
ローンが組めない期間は、各ローン会社がどの個人信用情報機関を閲覧しているかによります。
下記にて、代表的な個人信用情報機関を紹介します。
- KSC・・・KSCは、「全国銀行個人信用情報センター」の略で、全国銀行協会によって運営されています。任意整理の内容は載りませんが、その代わりに「代位弁済」という形で載ります。代位弁済とは、金融事故を起こしたときに記録される文言です。なお、代位弁済は登録後5年間載ります。
- CIC・・・CICは、「株式会社シー・アイ・シー」の略です。CICの場合も任意整理の内容は載りませんが、その代わりに「異動」という文言が載ると言われています。なお、CICの場合も最大で「5年間」データが反映されるので気を付けましょう。
- JICC・・・JICCは「日本信用情報機構」の略で、個人情報信用機関の中でも規模が最も大きい機関です。JICCの場合は、受任通知されて交渉成立するまでの間に任意整理した事実が登録され、最大で「5年間」データが残ります。
ただ、仮に個人情報信用機関から任意整理のデータが消えたとしても、一度でも金融事故を起こした会社とローン契約を結ぶのは難しいです。
なぜなら、社内にブラックリストとして残り続ける可能性が高いからです。
審査の内容が消去されていればローン契約を結べる可能性も多少は上がります。
しかし、そのようなケースは稀なので、あまり期待しない方が良いでしょう。
任意整理後にローンを組みたい!可能性がある5つのケース
読者のなかには、任意整理後にローンを組みたいと思っている人もいるでしょう。
そこで最後の章では、可能性がある5つのケースを紹介します。
ただ、基本的には、ローンを組めない確率の方が高いので、そのことを頭の中に入れて読んでいただけると幸いです。
ケース1:頭金を十分に用意している場合
頭金を十分に用意している場合は、ローンを組める確率も上がります。
なぜなら、「頭金がある=貯金ができる=計画性がある」と、ローン会社より判断されやすく、印象が良くなるからです。
ローン会社からすると、安心してお金を貸せます。
さらに、公務員など給料が安定的に入る職業であれば、もっと印象も良くなりローンを組める確率も上がるでしょう。
ケース2:任意整理していない金融機関でローンを組む
任意整理をしたことがない金融機関でローンを組むのも一つの手です。
現在は、金融機関業界も生き残りをかけて、審査を緩和している場所もあります。
とくに、地方銀行では地域経済の衰退や利用者の減少で、業績が芳しくない企業も…。
そのような金融機関へローンを申し込むと、審査に通る確率も上がるでしょう。
ただ、いくら業績が苦しい銀行でも「返済されないリスクが怖い」と言って、ローンが組めないケースもあるので気を付けましょう。
ケース3:審査のゆるい金融機関を利用する
審査のゆるい金融機関を利用するのも一つの手です。
なお、下記の項目を意識すると見つけやすいかもしれません。
- キャンペーン中の金融機関を見つける・・・ローン加入者を増やす目的のキャンペーンをしている金融機関だと、任意整理後のローン審査も多少通りやすくなるでしょう。とくに、ノルマ未達の店舗だと「ローン契約者を誕生させなければならない」という気持ちになっているケースも多いため、ローン契約を結べる確率も高くなるでしょう)
- 審査項目が少ない・・・審査項目が少ない金融機関で、ローン契約を結ぶのも一つの手です。審査項目が少なければ、その分チェックされる項目が減るので審査に受かりやすいです。「職業欄の記載欄や家族構成の記載欄がない」金融機関を狙うと、ローンを組める確率も上がるかもしれませんね)
- クチコミを参考にして見つける・・・クチコミを参考にするのも良いでしょう。一番有効なのは、任意整理後にローンを組んだことがある人のクチコミです。身近な人のクチコミは、信憑性が高いので参考になります。ただ、任意整理後にローンを組んだ人が周囲にいない場合もあるでしょう。その場合は、インターネット上に載っているクチコミを参考にすると良いです。ただし、クチコミによってはウソの場合もあるので、選別することを忘れないでくださいね。
ケース4:担保をつける
任意整理後でも、担保をつければローンを組めるケースもあります。
なお、担保をつける際は、下記のようなものをつけると審査に通りやすくなるかもしれません。
- 土地・・・土地は、担保としてよく提示されます。ただ、土地の価格は場所・タイミングによって価値は大きく変動します。もし、土地を担保にするのであれば、土地の価格を鑑定してもらった後に、ローンの申請をすると良いでしょう。
- 建物・・・建物を担保にするケースもあります。ただ、建物は年数が経つにつれて耐久性などがなくなるので値段は下がるので、新築に近い建物でないと担保にするのは難しいかもしれません。また、いくら建物が新しくても需要がなければ、担保としてつけられないケースもあるので気を付けましょう。
- 宝飾類・・・宝飾類を担保につける人もいます。ダイヤモンドやルビー、オパール、エメラルドなど何百万、何千万円の価値が付く商品もあります。ただ、逆に数百万円で購入した商品であっても、数万円程度の価値しかない場合もあるので、数点の宝飾店で価値を鑑定してもらい「鑑定書」を持っていった上で、ローン契約を組むと良いでしょう。
ケース5:家族などの名義でローンを組む
家族などの名義を使い、ローンを組むのも審査に通るコツです。
なお、家族などの名義を使う場合、下記のことに注意しましょう。
- 個人情報信用機関のデータが汚れていない人を選ぶ・・・今までに、借金などをしたことがない人(=個人情報信用機関のデータが汚れていない人)を選びましょう。数百万円程度の資産を持っている人でも、債務整理をやった形跡があるだけで審査に通らなくなる場合も…。そのため、借金の経験が全くない人に頼むことをおすすめします。
- 会社で働いている人にお願いをする・・・ほとんどのローン会社では職業を記載する欄があります。フリーランスだと、どうしても「収入が不安定」というイメージを持たれる可能性が高いです。逆に会社員だと、安定的な収入が入るというイメージをローン会社から持たれやすく、審査に通りやすいでしょう。ただ、会社員でも非正規社員として働いている人だと、「収入が不安定」という印象を持たれやすいので、正社員で働いている人にお願いすると良いです。公務員や大手企業で勤務している正社員の人へローンを組んでもらうことをおすすめします。
- クレジットカードなどの契約件数が少ない人・・・カード・ローンの契約件数が少ない人に頼むのも一つの手です。なぜなら、契約件数が多い人へ頼むと審査に落ちる可能性が高くなるからです。ローン会社によっては「カード・ローンの契約件数が多い=借金に追われて返済ができなくなる可能性が高い」という印象を持たれる場合があります。それを回避するためにも、契約件数が少ない人へお願いする方が良いのです。
任意整理後にはローンを組むのは基本的に難しい!
任意整理後にローンを組める確率を上げる方法を紹介しました。
しかし、基本は債務整理後にローン契約を結ぶのは難しいと思っておいた方が良いです。
なかには、ローン契約を結ぶ会社が現れるまで審査を申し続ける人もいますが、審査に落ち続けるといろいろなローン会社にブラックリストとして載るので辞めましょう。
新規でローンを組みたい人は、任意整理のデータが個人信用情報機関から消滅した後に、申し込むことをおすすめします。
※本記事の内容などは2018年4月現在のものです。